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分水嶺倶楽部

分水嶺の線引き

1、地図に分水嶺を線引きする

地図の選定

分水嶺を特定するためには、まず地図が必要になる。基本になるのはやはり国土地理院の地形図であろう。これに勝る信頼できる地図はないし、一般に販売されているあらゆる地図は、すべて国土地理院発行の地勢図(1/20万)ないし地形図(1/5万、1/2.5万)を基に作成されているからだ。また各自治体では1/1万図も独自に作成しているので、部分的に参考になる場合がある

私は、はじめ昭文社のマップルという地図帖により線引きした。1/10万図で、山名や自動車道以外の表記も詳しいので、概略を知るにはいちばん手頃であった。しかし線引きが進むにつれてページを追うのに製本されているものは意外に手間取り、結局は国土地理院の1/20万の地勢図に頼る事になった。

そして、さらに細かい情報を得るために、1/5万図ないし1/2.5万図ということになるのだが、どちらも表記の違いがあまりないと思っていたので、1/5万図を使っていたが、じつは、大きな違いがあったので、途中から1/2.5万図を使うことになっていった。山名や文字表記の細かさは同じであるが、標高線の間隔や標高点の数が異なり、微妙な稜線の特定に必要だったのだ。そのため約倍の枚数が必要になってしまった。
今、手元に約500枚の1/2.5万図と約50枚の1/20万図の保管場所の確保に四苦八苦している。

■■デジタルマップの便利さ

しかし、最近は紙の地図は、あまり必要なくなってきた。デジタルマップがたいへん便利になった為だ。
国土地理院が発行している数値地図を使うと、CD-ROM一枚に1/2.5万図64枚分収められており、場合によっては格安になる。分水嶺だけを追っていった場合はあまりメリットがないかも知れないが、スペースは圧倒的に少なくて済む。

さらに、カシミールというナビソフトを使うと、さまざまな使い方ができ、最近はもっぱらこのソフトを利用している。解説本に付録として添付されているデータを組み合わせれば全国をカバーできる。ただし1/20万図と1/5万図のみで、1/2.5万図が必要な場合は国土地理院の数値地図が必要になるのだが、関東地域だけならばDVDによりカシミールの解説本で間に合うようだ。

日本山岳会の中央分水嶺踏査では、カシミールで作ったGPSデータが大いに役立ち、踏査記録の情報なども詳細に収めることができた。また踏査の時に記録したGPSのトラックデータもそのまま表記でき、必要不可欠なツールになりつつある

■■■ 線引きのおもしろさ

さて、地図上で線引きしてみると、いろいろ面白いことがわかってきた。分水界がはっきり稜線で判明できるところ。地形が複雑でどこを走っているのか判りづらいところ。折れ曲がっているようなところ。県境から不可解にはずれているところ。分水界を越えて跨る鉄道や道路。市町村の真ん中を貫いているところ。飛行場や自衛隊の演習場やスキー場やゴルフ場などを横切っているところ。わずがな距離なのに分水界が隔てている集落。などなど・・・・・・・

ここは実際にどうなっているのだろうか? と興味は次々に沸いて出てくる。そして地図上だけでは飽き足らず、車を飛ばして現地に行ってみる。

分水嶺上を歩いたり越えたり、調べたり。そんな繰り返しがいつのまにか、自分自身のテーマになっていくのだった。

2、大分水嶺MAP 作成の試み

(大分水嶺を端から端まで一直線に引き延ばして何が見えたか?)



日本列島の大分水嶺を一本の直線で表現しようと試みに始めた作業が、漸く全国をカバーでき、33枚のMAPになってしまった。地形図に掲載されている、山や峠をできるだけ細かく掲載して、自分の山行の資料にしようと思ったのがきっかけであったが、次第に周辺の風土や地理を表現してみたくなり、思考錯誤を現在も続けている。

「表日本」「裏日本」 という表現が差別用語だと言われて、替わりに日本海側、太平洋側 という表現に変わった。地図を描くには大抵 北が上で南が下。当然東が右で、西が左。ごくあたりまえの常識が、今回分水嶺を一直線で表現してみようと思った時に、どういう書き方をすれば自分自身でいちばん納得するか、かなり思い悩んだ。

結果ご覧のような横一直線。右側が北海道方向、左側が九州方向になった。

この図には方角は無い。あるのは分水境界のどちら側に何が所在するかという一点に絞った。
したがって、日本海側が上で、太平洋側が下に表現したことも、見方を変えると、その逆でもいいわけで、たぶん私が太平洋側に住んでいるせいかも知れない。地図ソフトなどを利用して書き加えればなんと云うこともない作業であるが、あくまでも手書きで、地形図と首っきりで作ってみたが、横に連続して表現したほうが見やすいのでこうなったが、ホームページに掲載するとなるとどうも縦に連続したほうが扱いやすいようです。「分水嶺辞典」の永富さんは縦に表現してとても見やすい地図になっている。

さて、細かく見ていくと、かなり辻褄の合わないヵ所がたくさんでてくる。しかし分水嶺を表現するのには、山の頂と鞍部(峠)そして峠の両側に存在する人間の集落。この関係が連続して存在することによって、さまざまなドラマが生まれ、歴史が営まれ、新陳代謝していくので、多少の辻褄は大きな眼で見ることにして、漠然と日本列島のスケルトンを追ってみてほしい。

98/2/19 近藤善則

分水嶺MAP こちらからご覧ください

分水嶺MAP

北海道

東北

関東中部

近畿

中国

四国

九州
1、宗谷岬ー三国山 6、竜飛崎−八甲田 11、尾瀬−白砂山 15、三国岳−鼓峠 16、栗柄峠−那岐山 29、蒲生田岬−鉢ケ森 21、門司−水分峠
2、知床岬−三国山 7、五所河原−網張 12、野反湖−佐久 26、三国岳−仙ケ岳 17、人形峠−中山峠 30、鉢ケ森−狼ケ城山 22、久住−槻木峠
3、三国山−夕張 8、網張−鬼首 13、十石峠−茶臼山 27、鈴鹿峠−伯母ケ峰 18、竜王山−傍路峠 31、獅子越峠−佐田岬 23、白髪岳−佐多岬
4、夕張=長万部 9、鬼首−栗子 14、奈良川−九頭竜 28、大普賢岳−日の岬 19、三段峡−秋吉台 24、英彦山−雷山
5、長万部−白神岬 10、栗子−奥鬼怒 20、長門−壇ノ浦 25、雷山−平戸
32、佐賀関−大戸の口

沖縄
33、辺戸岬−喜屋武岬

分水嶺MAPは継続更新中ですが、希望者にはコピーでお頒けしています。(実費)
希望者はメールで近藤善則宛て連絡ください。


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